2023.06.20 セキュリティ / 安全対策

関東大震災100年をふりかえる。変化した災害対策と防災DX化の未来

今年で関東大震災から100年が経ちます。1923年9月1日、マグニチュード7.9と推定される極大な地震が関東地方を襲い、その規模と破壊力は日本に衝撃を与えました。

当時の首都・東京を中心に関東地方が大きな被害を受け、10万以上の人々が命を失いました。その被害の甚大さからこの地震は「関東大震災」と名付けられました。

この悲劇から100年、我々はどの程度、災害に対する理解を深め、防災対策を進化させてきたのでしょうか。そして、これからのDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代における防災の取り組みについてこの記事で探っていきます。

関東大震災をきっかけに変化したこと、進化したこと

この大震災は、日本の防災対策を大きく変えるきっかけとなりました。この壮絶な災害をきっかけに、日本の建築物の耐震基準、避難所の設置、避難訓練、気象情報の充実といった防災対策が一気に進展しました。

  1. 建築物の耐震基準の強化
  2. 関東大震災の影響で日本は建築物の耐震基準を強化しました。初めての耐震構造基準が設けられ、その後も大正、昭和、平成と時代ごとに見直され、現在では新築の建物は全てが耐震設計に基づいています。さらに、既存建物の耐震改修の推進、建物の耐震性能の公開なども行われています。

    日本における「耐震基準」の歴史

    建築物の耐震基準の強化

    初期の耐震基準(1924年):

    1923年の関東大震災を受けて、日本で初めての耐震基準が設けられました。しかし、この基準はあくまで「揺れに対する建物の強度」を考慮したもので、建物の構造や地震の動きを具体的に考慮したものではありませんでした。

    新耐震基準(1981年):

    科学的な地震動解析に基づく新しい耐震基準が設けられました。建物の構造計算により、建物が地震による揺れに耐えられることを確認する基準となりました。

    既存不適格建築物対策(1995年):

    阪神淡路大震災を受けて、既存の建築物に対する耐震化対策が強化されました。新耐震基準より前に建てられた建物の中には、新基準を満たしていない「既存不適格」建物が多く存在し、これらに対する改修が促進されました。

    改正耐震基準(2000年):

    地震の揺れの形状や、建物の振る舞いをより詳細に考慮した新たな基準が導入されました。これにより、建物の設計段階でより正確な地震対策が可能となりました。

    耐震診断・耐震改修の普及促進(2000年代以降):

    耐震診断と耐震改修の普及促進が進められ、既存不適格建物の改修や、新たな建築物の建築物の耐震性能の向上が進められました。これには国や地方自治体の補助金制度なども導入され、家屋の耐震改修に対する支援が強化されました。さらに、2006年には「建築物の耐震診断の促進に関する法律」が施行され、大規模集合住宅等については一定の期間内に耐震診断を行うことが義務付けられました。

    これらの耐震基準の改正と変遷を通じて、日本の建築物は地震に対する耐性を強化してきましたが、地震は予測不可能な自然災害であり、その規模や影響は常に変動します。そのため、常に最新の科学的知見に基づいて耐震基準を見直し、建物の安全性を確保する努力が求められています。

    なお、日本の耐震基準は世界でも最も厳格なものの一つであり、地震多発国である日本の経験や知見は、世界中の地震対策にも役立てられています。

  3. 避難所の設置と避難訓練の普及
  4. 当初の避難所の整備や対応については各地域ごとの対応の格差が大きく、被災者全体に行き渡る対応ができなかったと言われています。

    震災後、適切な避難所が不足していたことが明らかになり、その後各地で公共施設や学校を中心に避難所が設けられるようになりました。また、避難所だけでなく、避難ルートの確保や避難訓練の普及も進められ、災害時の対応力が向上しました。

  5. 気象情報の充実
  6. 関東大震災では、事前の警戒や予知が難しく、多くの人々が突如として襲い来る災害に遭遇しました。これを受けて、気象庁は地震や津波、台風などの気象情報の充実を図りました。現在では地震の初動微動(P波)をキャッチしてから数秒後の本震(S波)到達前に警報を発する「緊急地震速報」が稼働しています。

    緊急地震速報の仕組みについて詳しく知りたい方は、気象庁のページをご覧ください。(国土交通省 気象庁 – 緊急地震速報のしくみ

地方自治体間の協力体制もより強固なものへ

関東大震災後、各自治体や国レベルでも防災・減災への取り組みが強化されました。防災計画の策定、耐震化の推進、避難所の整備、避難訓練の充実、気象・地震情報の改善と発信力の強化など、幅広い取り組みが行われてきました。

また、災害時の社会システムや行政の対応体制も見直され、災害対策本部の設置や地方自治体間の協力体制の構築など、災害時の連携体制も強化されました。

地方自治体間の協力体制もより強固なものへ

例えば、2011年の東日本大震災の際、全国の自治体から被災地に対して多大な支援が行われました。この経験からも、多くの自治体が災害発生時における相互協力体制を明確にするため、災害協定を結んでいます。

人材派遣

災害が発生した場合、他の自治体から人材が派遣されることがあります。これらの専門家や公務員は、復旧作業や避難所の運営、被災者支援に貢献します。

物資提供

災害時には、食料、水、衣類、寝具、医療品等の必需品が急速に消費されます。必要な物資を速やかに提供するため、他の自治体が協力して物資を提供することがあります。

復興支援

災害の後、被災地の復興が重要になります。他の自治体は、復興プロジェクトに人材や資金を提供することで協力することがあります。

情報共有とコミュニケーション

災害発生時には迅速かつ正確な情報が必要です。自治体間での情報共有やコミュニケーションの改善は、効果的な対応策を講じるために不可欠です。

これらの一部または全部が具体的な事例として災害発生時に活用されます。災害協力体制は地方自治体間だけでなく、国、NPO、企業、市民等多様な主体の協力によって成り立っています。災害は予測不可能なことが多いため、あらかじめ協力体制を構築しておくことが重要です。

これからの進化した災害対策・DX化について

現代では、テクノロジーの進化により防災対策も大きく変わりつつあります。災害情報のリアルタイム共有、地震の早期警報システム、安否確認システム、避難指示や災害情報のスマートフォンへの即時配信、遠隔地からでも適切な避難情報を得られる防災サービスなど、デジタル技術の活用が進んでいます。

さらに、AIを用いた災害予測や災害対策の最適化も進んでいます。たとえば、AIを用いて地震や気象情報から災害の発生を予測し、その情報を元に適切な避難指示を出すシステムが開発されつつあります。また、地震や豪雨などの自然災害の発生頻度や規模をAIで予測し、都市計画やインフラ整備を最適化する取り組みも始まっています。

Linkit 防災速報機能

現在ではスマートフォン等による緊急地震速報が整備されていますが、災害情報のリアルタイム共有と安否確認システムを組み合わせた「Linkit 防災速報」は、気象庁から通知される地震以外の大雨・土砂災害などの警報・注意報を「LinkitMaps」の登録ユーザーのスマートフォンに一斉通知するとともに、専用アプリの地図上に色を付けて表示する機能です。

複数拠点の災害状況と複数社員の居場所を同一の地図上で確認することができますので、社員の安否確認の迅速化を図ることができます。

Linkit 防災速報」を用いると災害状況と社員の位置情報がマッピング表示されますので、より高度な作業員の安全管理がより迅速で正確に行うことできます。

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また、LinkitMapsは「情報共有とコミュニケーション」の強化という点でも最適なサービスです。

Linkit Maps の特長 GPS情報とステータスをリアルタイムに共有
リアルタイムな位置情報とステータスを共有できる

Linkit MapsはスマホのGPS情報と、作業員のステータスをリアルタイムに共有できます。

ステータスアイコンをお客様がカスタマイズすることができるので、作業員がどのような状態なのか、即座に確認出来ます。

マップの機能に付随して、その場でリアルタイムにチャット・音声通話ができる機能も搭載しています。現場の詳細情報もリアルタイムで報告・連絡することができます。

Linkit Maps の特長 現場の状況をすぐに地図で共有
写真つきスポットで正確で迅速な報連相が可能

現場の状況を、最大10種類のスポットアイコンで見える化できます。スポットアイコンはお客様がカスタマイズ可能で、業務にあわせて様々な用途で活用できます。

また、地図上の登録スポットに写真を登録し、状況を共有することも可能です。ひと目で災害の被害状況が確認でき、優先度の判断や作業者の応援手配等を判断するための重要な材料が簡単に関係者全員に共有できます。

100年を越えて

関東大震災から100年。当時と比べ、我々の災害対策は飛躍的に進化してきました。過去の経験を教訓に、今後のDX化を進めることで、より一層の防災強化が可能となることでしょう。しかし、その一方で、災害はいつ、どこで発生するか予測不可能であり、その破壊力も計り知れません。だからこそ、日々の防災意識の向上と、防災対策への持続的な投資が重要となります。

私たちは、関東大震災の悲劇を忘れることなく、その教訓を未来に活かし、災害に立ち向かう力を育んでいかなければなりません。そして、そのためには、防災教育の普及と個々の防災意識の向上にも力を入れていくべきだと言えます。

災害に対する理解を深め、技術の進化と共に防災対策も進化させていきましょう。