2023.06.15 セキュリティ / 安全対策

災害時の事業継続:物流業界におけるBCPと防災計画

我々が生活している社会は、自然災害や病気の流行、経済的な混乱など、さまざまなリスクに常にさらされています。企業にとっても同様に、突如として起こる災害や事故が事業の停滞を招くことは珍しくありません。こうした中で、企業が予期せぬ事態から事業を守り、継続するために必要なのが事業継続計画(BCP)です。本記事では、BCPと防災計画の違いについて詳しく解説します。

BCP(事業継続計画)とは?

BCPとは、Business Continuity Planの略で、大規模な災害や経済的な混乱など、様々な危機が発生した際に、最も重要な事業機能を継続させ、復旧するための計画を指します。要は、あらゆる突発事態に対し、事前に対策を練り、どのように対応し、事業を続けるかを詳細に定めたものです。

企業がBCPを策定する主な動機は、一部を挙げると以下のようなものがあります。

  1. 事業の継続:災害や事故が起きても、事業が滞らないようにする。
  2. 社会的責任:従業員や取引先、地域社会に対する安全性と信頼性を確保する。
  3. 法規制への対応:特定の業界では、BCPの策定が法的に求められている。

従業員や取引先、地域社会に対する安全性と信頼性を確保する

防災計画とは?

一方、防災計画とは、地震や洪水、台風などの自然災害が発生した際の人々の安全確保や災害からの早期復旧を目指すための計画です。この防災計画の中心的な要素は、「災害」に焦点を当て、その影響を最小限に抑えるための「防災対策」の策定です。

防災計画では、主に以下のような点が考慮されます。

  1. 避難経路の確保:予測される災害の種類や規模に基づいて、適切な避難経路を設定し、周知すること。
  2. 安否確認システム:災害発生時に全員の安否を確認し、必要な援助を行う体制を整備すること。
  3. 物資の備蓄:飲料水、食料、救急医療品など、災害時に必要な物資を備えておくこと。
  4. 災害対応トレーニング:実際の災害時に備え、定期的に防災訓練を実施すること。

BCPと防災計画の違い

BCPと防災計画は、どちらも危機管理の一部として重要ですが、その目的と焦点は異なります。防災計画は、特に自然災害などの「災害」に対する「人的安全」を重視するのに対し、BCPは「事業の継続性」を重視します。

BCPでは、事業の継続を中心に考え、企業の使命と目標を達成するために最も重要な事業プロセスが何であるか、それらをどのように維持し、復旧するかに焦点を当てます。そのため、BCPには通常、ITシステムの復旧、代替施設の確保、重要な業務の優先順位付けなど、事業運営に直結した具体的な行動計画が含まれます。

一方、防災計画では、災害時の人命救助、安否確認、避難所設定、物資供給など、人々の安全と生活基盤の確保を優先します。企業が防災計画を策定する理由は、従業員やその家族、さらには地域社会全体の安全を確保するという社会的責任にあります。

ITシステムの復旧

物流におけるBCP策定

国土交通省は、予見可能な災害に備えた荷主と物流事業者の連絡調整体制のあり方等の検討を行い、その結果を踏まえて「多様な災害に対応したBCP策定ガイドライン」を作成しています。「貨物物流のBCP策定ガイドライン」は主に物流事業者と荷主が自然災害等の緊急事態に対応するための事前対策(BCP:Business Continuity Plan)を策定するための指針を示しています。

以下にガイドラインのポイントを挙げていきます。

「多様な災害に対応したBCP策定ガイドライン」のポイント

そういった配達先毎にパーソナライズされた情報を活用し、迅速な配送を行うことでトラブルを未然に防ぎ、顧客満足度の向上へ繋がります。

  1. 事前対策
  2. 事前に災害等の緊急事態に備えるための対策を策定することが重要です。これには、連絡会議の設置、災害時対応の協議、連絡調整体制の構築、気象情報・災害予測情報の収集・共有方法の検討、優先業務の設定などが含まれます。

  3. 予見後・発災前対策
  4. 自然災害が予見可能な場合(大雪、大雨等)には、事前に対策を講じることが求められます。これには、輸送の事前中止等の発動条件・内容等の共有、在庫の積み増し等の対応策の検討・共有などが含まれます。

  5. 発災後対策
  6. 災害発生後には、初動対応・応急対策・復旧対策を行う必要があります。これには、災害時連絡体制の構築、災害時連絡・協議の実施、各社の被災状況の報告・相互共有、インフラ・交通機関の被災状況等の収集・共有などが含まれます。

  7. 全体像の理解
  8. 荷主と物流事業者の連携の全体像を理解することが重要です。これには、平時からの事前対策、予見可能な自然災害の予見後・発災前に行う対策、災害の発災後の対策(初動対応・応急対策・復旧対策)といったタイムラインに即した対応が含まれます。

  9. サプライチェーンの構成
  10. 物流体系を構成するサプライチェーン全体を考慮に入れることが重要です。これには、代替施設の事前確保(物流施設の多重化等)、代替作業体制の事前確保、代替施設への移行準備、代替施設による物流拠点の運営、代替輸送手段の事前確保、燃料確保策(優先供給契約等)、代替輸送手段への移行・輸送実施、燃料の確保などが含まれます。

  11. 情報共有・伝達
  12. 物流情報の共有・伝達も重要な要素です。これには、EDI(Electronic Data Interchange)の導入・活用、代替施設のEDI標準化、代替施設におけるEDI運用準備、代替施設におけるEDI運用などが含まれます。

  13. 人材の確保・育成
  14. 荷主や物流事業者が適切なBCPを策定するためには、BCPに関する担当者を配置することが重要です。
    人材を確保できないケースも多く、人材の確保・育成から始めることが必要となります。
    人材の育成のために必要なポイントは以下の通りです。

    • 国や自治体主催のBCPセミナーへの参加
    • BCPに関する社内教育体制の充実、定期訓練の実施
  15. 発災後対策(初動対応・応急対策、復旧対策)
  16. 実際に災害が発生した際には、事前に定めた方法・手順に基づき、道路等の交通インフラの被災状況や復旧状況について、荷主・物流事業者間で情報共有を行います。

参考: 国土交通省 多様な災害に対応したBCP策定促進

まとめ

ガイドラインは荷主と物流事業者が連携して取り組むべきさまざまな項目について、予見可能な自然災害への対応という観点から、事前対策、予見後・発災前対策、発災後対策(初動対応・応急対策・復旧対策)に分けて整理されています。

これらの対策は、連携体制の構築、連絡調整体制の構築、被害情報等の共有、優先業務の設定、災害予見時の輸送の事前中止等の対策、施設の確保対策、輸送力の確保対策、物流情報の共有・伝達、人材の確保・育成、実効性強化の仕組み作りなど、多岐にわたります。

また、これらの対策は、事前に定められた手順に基づいて行われ、災害発生後の初動対応・応急対策、復旧対策につながります。そして、荷主と物流事業者が連携して取り組むことが重要です。

このような取り組みを行うことで、災害時における物流の確保と復旧を円滑に進めることができるようになるでしょう。

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